『図書館戦争』を読んだ

有川浩(2006). 『図書館戦争』 メディアワークス.

有川浩さんの『図書館戦争』を読みました。2006年に発売され、マンガ、アニメ、映画と多メディアで展開される人気シリーズです。気軽に読めるものを探しているときに、友人がこのシリーズにハマったと言っていたことを思い出し図書館で借りました。貸出は何十人待ちで、数ヶ月経ち忘れていた頃に手元に届いた次第です。

本書が描くのは図書館を舞台にした読書の自由を守るための戦いです。2019年(正化31年)の日本では、公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が施行され、好ましくないとされる書籍や雑誌は規制され自由に読むことができません。実力行使もともなうようになった規制から読書の自由を守るため、図書館は自衛組織・図書館隊を設立します。そこに情熱的で努力家の女性が入隊し、規制派勢力との戦いに加わっていくという話です。

この風変わりな話の構想のきっかけとなったのが、図書館の入り口などに掲げられている「図書館の自由に関する宣言」だそうです。あとがきなどで触れられていますが、地元の図書館に行ったとき旦那さんに教えられ、これは小説になるから早くかかないと誰かに取られてしまう!と思ったのだとか。私もこの本を読んでからそういえばあったなと思い、はじめてちゃんと見てみました。その宣言文がこちら。

第1 図書館は資料収集の自由を有する 第2 図書館は資料提供の自由を有する 第3 図書館は利用者の秘密を守る 第4 図書館はすべての検閲に反対する 図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

わずかこれだけのものからよくこれだけの物語に膨らんだものだと思うのですが、冒頭で本書の世界設定を説明するくだりが見事でした。

 公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律として「メディア良化法」が成立・施行されたのは昭和最終年度である。 検閲の合法化自体が違憲であるとする反対はを押し切る形で成立した同法は、検閲に関する権限が曖昧で拡大解釈の余地が広く、検閲の基準が執行者の恣意で左右される可能性を意図的に含んだかのごとき内容であった。何しろ検閲基準に関しては細則や施行令で随時補うことができ、その裁量権は執行機関に委ねられるという驚くべき無制約ぶりである。

このあとさらに続くのですが、テンポよく一気に図書館隊のあるもうひとつの日本がわずか数ページで作り上げられていく様を眺めているようでした。あと個人的には、大学時代を過ごした武蔵野市、三鷹市あたりが舞台になっているのも、あまり地域的な描写はないにしても嬉しいところでした。

きっとまた長い長い予約リストがあるのだと思いますが、また忘れた頃に次を読んでみたいところです。

図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)

松下 弓月

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松下弓月(まつしたゆづき)。たい焼きと映画とコーヒーと。最近は餃子が盛り上がっています。

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